« 音のない世界 | トップページ | 妖   月 »

病院の白いベッド

白く清潔なベッドは
なぜだか悲しい。
洗濯したての、糊のかかった
真っ白いシーツの真ん中に、
大きな窪みが残っていて、
少しだけまだ温もりがあるような気がする。
へこんだところを埋めていた大きな身体はいま、検査室。

白く清潔なシーツの上に、
花柄模様の掛け布団が乗っている、
家のベッドはそこが違う。
花柄の下には体温があって、
静かな寝息が常にあった。
痛い、苦しい、暑い、冷たい、
喉乾いた、お腹空いた、
何も食べられない、なんか寂しい、
どうなるの? どうしたらいいの?

病院の白いベッドの上では、
透明のチューブや、太い針や、
いろんなものが突き刺さって、
見たことのない深い悲しみを連れてくる。

今はもう、病院の白いベッドを目にすることもなくなったから、
真ん中のへこみをつくっていた主の姿も見ることがなくなった。

|

« 音のない世界 | トップページ | 妖   月 »

人生」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/193685/47864685

この記事へのトラックバック一覧です: 病院の白いベッド:

« 音のない世界 | トップページ | 妖   月 »