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終わらない夜、始まらない朝

夜は必ず、終わるって。
夜が終わって、夜明けが来て
新しい朝が始まるって。

どうしてそんなこと信じてられる?
ほんとうにそうなのですか?
夜は、漆黒の夜は、暗黒の夜は、残酷の夜は、
ほんとうに毎晩、終わっているのですか?

飯のために這いずり回って
欲のために汚物を吐き出す。
いつか必ず
濁った泥濘を這い出して、
大魔王が棲む暗闇舞台は
薄汚れた緞帳の幕引きと同時に
贅沢に配置された弁当箱が照らす
眩しい世界に変わるのだよ。

そう信じているから、生きていく。
だけど。
やって来る朝は、ほんとうに
生まれたての赤子のように
清らな命の朝なのだろうか。
その朝は、谷川の朝の湧き水みたいに
冷んやりして気持ちいい
ガラスのような朝なのだろうか。

終わらない夜が終わる。
始まらない朝が始まる。
そして、
終わらない昨日が終わって、
始まらない明日が始まる。

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花のように、鳥のように

花のように、花のように、

花弁を拡げるなにかになりたい。

花弁を拡げて、もっと拡げて、

みんなに私が見えるように。

みんなに私がわかるように。

雌蕊を包む私の雄蕊が、

残酷なやり方で私を拡げて突き出して。

色鮮やかでありますように。

惑わす匂いでありますように。

甘い蜜でありますように。

花のように、花のように。


鳥のように、鳥のように、

羽を拡げるいき物になりたい。

羽を拡げて、さらに拡げて、

私が世界になれるように。

私が宇宙を遊べるように。

羽の付け根の筋肉が、

無残にも千切れるまで骨と肉を動かして。

いつか自由になれますように。

幸せであると言えますように。

存分に生きたと言って死ねますように。

鳥のように、鳥のように。


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